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【実用遠近法】簡単パース応用講座③~分割 基礎編:ユニットを2分割する方法~

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遠近法&背景
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《初級者~中級者向け》

今回は「分割」と言われる知識の基礎編です。

遠近法における「分割」とは、簡単に言うと「パースのついたユニットを複数に分ける」ことを指します。

パースの2等分割例

「分割」の中でも、今回は一番簡単な「ユニットの2等分割」について解説します。

この2等分割が「分割」の基礎となります。

次回の「分割応用編」と合わせると、パースのユニット分割を使って、このような複数のユニットに均等きんとう分割された板塀やブロック塀などが簡単に描けるようになるでしょう。

「分割」は絵を描く上で非常に便利で、使う頻度ひんども多い知識です。

次回の応用編と合わせて、ぜひ読んでみて下さい。

 

このブログでは遠近法における「線遠近法せんえんきんほう」を中心に説明します。

線遠近法は「透視図法とうしずほう」とも呼ばれるものです。

また、これらを含めた遠近法的要素ようそを持つものを「パース」という言葉で表すこともありますが、線遠近法を除いた他の遠近法については説明する予定はありません。

当ブログで「遠近法」や「パース」という場合は「線遠近法」のことをします。

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今回の授業内容と難易度

では、今回の内容です。

  • いつ分割を使うのか?
  • ユニット分割の考え方
  • パース上でユニットを2分割する方法

「分割」は「分割と増殖ぞうしょく」という言い方で、よく「増殖ぞうしょく」という知識とセットで説明されることも多いのですが、先に「分割」のみにしぼって説明します。

「分割」を知っておくことは「増殖」を学ぶ上の基礎となりますし、「増殖」について理解しやすくなると思います。「増殖」については改めて解説します。

何より説明もしやすいですので。

今回は「分割」の基礎編という位置づけです。

パース上にある板を2つに分割できるところを目指します。

  • 難易度なんいど 1:☆☆☆
  • 重要度じゅうようど 4:★★★★☆
  • 画力向上度がりょくこうじょうど 2:★★

基礎編で難易度は低いですが、重要度は高いです。

「分割」においては、まず「ユニットを2つに分ける方法」を理解することが基礎となるからです。

2等分割する方法は知ってしまえば、とても簡単な知識です。

 

どういう時に「分割」を使うのか?

では、具体的にどんな時に「分割」を使うのでしょうか?

 

真ん中はどこ?

最初に簡単な練習問題をやってみましょう。

こちらに2点透視で描いた板を立てた絵があります。

練習問題

こちらの板をちょうど板の真ん中を通る垂直な直線で2つに等しく分けるためにはどうすればよいでしょうか?

A、B、Cの3つのパターンを描いてみました。

A
B
C

このパースのついた奥行きのある板をちょうど真ん中で2等分する線の位置として、正しいと思われるものをA、B、Cの中からひとつ選んでみて下さい。

 

【答え】

どうでしょうか?

この問題の答えは「C」です。

正解はC

パッと見た印象だけだと「B」が正しいように見えますが、正解は「C」になるのです。

 

ユニットを等しく分ける「分割」

この練習問題で正解とした「C」の垂直線は、「分割」を使って求めています。

「分割」の基礎であるユニットの2等分割を知っていれば、このCの垂直線が求められます。

簡単に説明すると、今回の板(パースのついた長方形)に対角線を引き、その交点を通る垂直な直線がCであり、この垂直線Cは板の面積を2等分する線で、上下の各辺も2等分しています。

垂直線Cの求め方

以下で、なぜこの垂直線がユニットを2等分割していると言えるのかを確認していきます。

 

パース分割の考え方

パースに関する知識はパースがついたまま考えると難しくなってしまいます。

なので、今回の板も平面的な長方形(平行四辺形へいこうしへんけいの一種)として考えてみましょう。

長方形として考える

今回のパースのついた板も、単に長方形を見る角度が変わっただけです。

長方形として持っている性質は、パースが付いても変わることはありません

 

長方形が持つ性質

そして、ここで長方形(平行四辺形へいこうしへんけい)が持つ性質を確認しておきましょう。

おそらく中学校くらいで習うかと思いますが、「平行四辺形の対角線の交点を通る直線はその四角形の面積を2等分する」という性質です。

長方形や正方形も平行四辺形なので、当然この性質が当てはまります。

 

長方形を2等分割する方法

では、平面図となった長方形を2等分割してみます。

長方形

まず最初に平面の長方形の対角線を引きます。

対角線が引けたら、その交点には「p」と名前を付けておきます。

対角線を引いた長方形

長方形の持つ性質から言えば、この「p」を通ればどのような直線でもこの板を2等分割できるのですが、今回の練習問題では垂直線で2等分割するとなっています。

先ほどと同じように垂直線Cを描いてみましょう。

垂直線描きこみ

この垂直線Cは、長方形の上辺じょうへん下辺かへんに対して垂直に交わる直線です。

長方形の性質にしたがい、垂直線Cは対角線の交点を通る直線ですので、当然この長方形の面積を2等分する線と言うことになります。

面積の2等分割

面積が2等分されるので上辺と下辺も同じく2等分されていることになります。

辺の2等分割解説

 

2等分割の確認方法

この性質が本当に合ってるかどうかを実際に確認したい場合は、なんでも良いので正方形か長方形の紙を用意してみましょう。

コピー用紙やいらないチラシなどが手近でよいでしょう。

この紙に対角線を引いて、中点を通る垂直線を描いてみましょう。

そして、この垂直線にそって紙を折ってみるとぴったりと左右同じ面積で紙が折れると思います。

このことからも対角線の中点を通る直線は長方形(正方形)を2等分割していることがわかります。

 

パース上での2等分割

長方形(平行四辺形)を2つに等しく分割する方法は、これでわかりました。

それでは、最初のパースのついた板で再度2等分割について考えてみましょう。

パースがつくと難しく思えますが、平面図の長方形と性質は同じです。

長方形で検証けんしょうした内容をそのまま当てはめればOKです。

 

パースのついた板の2等分割

パースがついている場合も、まず対角線を引きます。

練習問題回答解説1

このような感じです。

対角線が引けると交点pができますので、ここを通る垂直線Cを描きます。

練習問題回答解説2

これだけです。

これで最初の板は2つに等しく分割されたことになります。

練習問題回答解説3

 

2等分割の実用例

では、このパースの2等分割をどのように使うかも考えてみましょう。

これは一例ですが、例えば窓です。

住宅などにある窓は同じサイズのサッシが左右にならぶ場合がほとんどです。

この窓にパースがついている場合に、この2等分割を使います。

まず住宅の壁となる四角形をパース上に描きます。

実用例窓の描き方1

さらに窓となる四角形を描き加えます。

実用例窓の描き方2

この窓の四角形を対角線で2等分割して、細部を描きこめば窓の完成です。

実用例窓の描き方3
実用例窓の描き方4

もし、壁の真ん中に窓を設置したいのであれば壁を2等分割すれば窓の位置がわかります。

この場合、壁を2等分割する垂直線と窓のサッシの真ん中の線は同じになります。

実用例壁と窓の中央線が同じ場合

 

窓はあくまで一例ですが、ユニットを2等分割する方法を知るだけでも色々なものを正確に2つに分割して描けるようになります。

「分割」の基礎として、ぜひおぼえておいて下さい。

 

 

要点まとめ

では、要点まとめです。

  • 「分割」を知るとパースのついたユニットを等しく分けることができる
  • 分割の理屈はパースのついてない平面図で考えてみる
  • ユニットを2等分割する時は四角形の対角線を使う

「パースの分割」は知っていると色々なところで使える便利な知識です。

まずは「なぜ2つに等しく分割できるのか」という基本的な理屈を知っておきましょう。

2等分割の理屈がわかればより複雑な分割についても理解しやすいでしょう。

 

次回は「分割」の応用編です。

より実用的な「分割」の使い方と、簡単な分割の方法について解説します。

それでは、また次回。

 

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