《初心者~初級者向け》
前回の授業までで「アイレベル」、「消失点」、「パース線」の3つの遠近法(パースペクティブ)における基礎知識を説明しました。
▼前回授業はこちら
今回は「アイレベル」、「消失点」、「パース線」の3つの知識を普段の生活の中でも意識して定着させる取り組みについてです。
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今回の授業内容と難易度
今回の内容です。
遠近法(パースペクティブ)を使いこなすには知識を身につけた上で、使い慣れていくことが大切です。
パースに慣れるには、パースを使った絵をどんどん描いてみるのもよいのですが、普段の生活の中でもパースの知識の定着やパースに慣れるトレーニングをこなすことができます。
今回は写真を例に「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を見つける方法や普段の生活の中で意識するポイントについて解説します。
- 難易度 1:★☆☆☆☆
- 重要度 3:★★★☆☆
- 画力向上度 2:★★☆☆☆
写真や日常の風景から「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を探すことは、日常の生活の中でも簡単にできるワークショップのようなものです。
前回までで学んだ知識を活かして「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を見つけたり、どうなっているか考える習慣をつけてみましょう。
くり返しおこなうことで発見や気付きがあり、遠近法(パースペクティブ)に対する理解が進んでいくでしょう。
日常生活にはパースがたくさん
よく知らないと難しく感じられる「遠近法(パースペクティブ)」ですが、実のところ普段生活している中で目にしないことはありません。
部屋にいる時も街を歩いている時も電車に乗っている時も、私たちはいつも遠近法(パースペクティブ)の世界の中で生活しています。
普段の生活の中ではこれを意識していないので特に気付かないだけです。
これまでの3回の遠近法に関する授業で「アイレベル」、「消失点」、「パース線」について説明してきましたが、これらの基礎知識を知っている人は日常の風景も遠近法(パースペクティブ)で見るようになります。
「今のアイレベルはここだな」、「ビルや道路の並びからパース線はこう走っている」、「よって消失点はこのあたりだ」と意識していつもの風景を見るだけで、遠近法(パースペクティブ)についての理解が進み、絵を描く時に使える引き出しの中身が増えていくことでしょう。
今回は写真を使って「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を探し出す方法について説明します。
写真からアイレベル、消失点、パース線を探してみる
今回は写真を使って説明しますが、日常の風景の中でも同じことができます。
簡単な1点透視の写真から「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を探してみましょう。
写真から探す「アイレベル」「消失点」「パース線」
まずはこちらの写真で「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を探してみましょう。
典型的な屋内1点透視の写真です。
まず「アイレベル」、「消失点」、「パース線」の何から探すべきでしょう。
パース線 ⇒ 消失点 ⇒ アイレベルの順で探してみる
まずはパース線を引いてみる
写真や実際に「アイレベル」、「消失点」、「パース線」を探す場合は、まずパース線を探してみるのがよいでしょう。
上の写真なら明確なパースラインを持っている室内のトリム(壁のかざり)などを参考にしてパース線を引いてみます。
このような感じです。
パース線は2、3本でなく、できれば4~5本描いてみるのがよいでしょう。
その方が消失点やアイレベルを探す段階でのズレを少なくすることができます。
また、上記の写真にもありますが、イスなどの簡単に動かすことができるものはパース線を引く時の参考としてはあまりよくありません。
イスなどは一見きちんと並んでいるように見えても動いてズレていることがあります。
(動いて位置がズレていてもVPが変わるだけでアイレベルは変わりません)
パース線を探す時は、なるべく動かないものをガイドとして使うのがよいでしょう。
パース線から消失点を見つける
パース線を何本か引いてみると、それが集中している場所を見つけることができるでしょう。
ここが消失点(VP)です。
アイレベルを見つける
消失点が決まったら、消失点が位置する場所についての知識「消失点はアイレベル上に存在する」を思い出してみましょう。
つまり消失点が存在する水平ライン(写真が傾いていない場合)がアイレベルということになります。
このようにパース線 ⇒ 消失点 ⇒ アイレベルの順に探してゆくと写真や見ている風景のパース線や消失点、アイレベルを探し出すことができます。
例題:写真の「アイレベル」「消失点」「パース線」はどこか?
では、他にもいくつかの写真でアイレベル、消失点、パース線を探してみましょう。
どれも基本的には1点透視として考えられる写真なので消失点は1つのみとします。
※答えはこのページの最後にのせておきます。
【例題1】
【例題2】
【例題3】
難しければ先に答えを見てから考えてみてもOKです。
いくつか例題をこなしたらアイレベル、消失点、パース線を見つけるポイントのようなものがわかってきたのではないでしょうか。
今回の例題は1点透視として考えられるものなので比較的簡単ですが、これに慣れておくと2点透視や3点透視のような少し複雑なパースをもった写真からでもアイレベル、消失点、パース線を見つけやすくなるでしょう。
普段から自分の今いる空間のパースやアイレベルを探してみましょう。
パース(線遠近法)を考えなくてよい事例
ここまで写真上でアイレベル、消失点、パース線を探すトレーニングをしてみましたが、パース(線遠近法)を考えなくてもよい構図というものもあります。
例えばこちらの写真です。
空と丘の境目がアイレベルであるようにも見えますが、この地面は奥に向けて傾斜している(登っている)のでカメラを少し上にむける感じで撮影しています。
よってこの空と丘の境目はアイレベルとはなりません。
あえてアイレベルを探すならこのあたりになるでしょうか。
その他、丘の上の木々もカメラに対して正対する感じで並んでいるので、ここにも明確なパースラインは存在しません。
こういった構図で絵を作っていく場合はパース線を使う線遠近法で考えず、平面的なパーツを配置していくような手順で画面を作ることもできます。
アイレベル、消失点、パース線に慣れていこう
アイレベル、消失点、パース線を使いこなすためには慣れが必要です。
もちろん絵を描く時に遠近法(パースペクティブ)を考えて描くことは良い勉強ですが、普段の生活の中でもパースに慣れることはできます。
部屋の中でも外出中でも、いつでも良いのでまわりの風景の中にパース線を探してみましょう。
特に気になる風景があったのなら、スマホなどで撮影しておくのもよいでしょう。
そして、今回のように写真からアイレベルや消失点を探し、その時のまわりの人や物の高さや大きさの関係がどうなっているかを調べてみるとよいトレーニングになるはずです。
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要点まとめ
今回の要点をまとめておきます。
今回の内容を活かして、日常生活の中でもパースを意識してみましょう。
パースに限らず勉強でも運動でもなんでもそうですが、初心者が中級者レベルまでの知識や技術を身につけるためには習慣づけて継続していくことが大切です。
次回からは実践編として、実際に遠近法(パースペクティブ)を使って絵を描いてみます。
遠近法(パースペクティブ)では、特に「箱が描ける」かどうかという点が大切になってきますので、次回は1点透視図法を使って箱を描く方法や考え方のコツなどについて解説してゆきます。
遠近法(パースペクティブ)で箱が描けるようになれば、人でもビルでも机でも…なんでもパースの空間上に箱をベースとして描くことができるようになるでしょう。
「箱」は遠近法(パースペクティブ)を使って絵を描く最初の第一歩となります。
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パースの知識を身につけるためには、お手本を見ながら実際に描くのが一番です。
古本でも良いのでパースの参考書を何冊か手元に置いておくのがおすすめです。
【例題の答え】
【例題1の回答例】
【例題2の回答例】
【例題3の回答例】
▼次回授業はこちらから。
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