《初級者向け》
初心者から初級者向けの「パース超基礎講座」は今回で一旦終了です。
2点透視などの少し高度な内容については初級者~中級者向けとして分けて説明します。
今回は「超基礎講座」の総まとめとして部屋を描いてみます。
パースについて知ったばかりだと難しく感じる人もいるかも知れませんが、今回は1点透視の応用編です。できなくても全く問題ありません。
1点透視で箱を描く技術と知識が身についていれば、今のところはOKです。
あせらず、ゆっくりで良いので確実に技術と知識を学んでいきましょう。
重要なのは継続して少しずつ身につけていくことです。
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今回は1点透視と絵を描く際の色々な知識を合わせて、部屋を設定して描いてゆく手順を解説していきます。
絵を描くことは頭の中の複数の引き出しから色々な知識を出してきて、それをかけ合わせながらキャンバスの上にペンを使って絵として形を作っていく表現手法です。
今回は複数の知識を使いながら絵を描く方法についての実践編でもあります。
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今回の授業内容と難易度
では、今回の内容です。
1点透視の実践的なトレーニングとして部屋を描いてみます。
部屋を描くためにはパースの知識以外にも知っておくべきことが色々ありますので、そのあたりについても合わせて説明してゆきます。
- 難易度 4:★★★★☆
- 重要度 3:★★★☆☆
- 画力向上度 3:★★★★☆
部屋を描くこと自体はパースで箱が描ければ、ある程度は描けると思います。
しかし、それ以上に難しいのは部屋の中にあるものを実際のサイズに合わせたり、使う人間のことも考えながら描いてゆくことです。
部屋のドアやベッドの大きさなど、基本的なサイズが決まっているようなものもあります。
「なんとなく…」で描いてしまうと大失敗することもあります。
「その部屋の住人がちゃんと使えるか…」という点も意識しながら、これまでに身につけた知識や技術をすべて使って描いてゆきましょう。
色々なことを同時に考えながら描かなければならないので難易度は高めです。
しかし、パースを使って色々な部屋(空間)が描けるようになれば絵を描く力としては初級者を脱して中級者レベルに達したと言えるでしょう。
少し長くて難しい内容だと思いますが、「これをクリアしたら中級者レベルだ!」とモチベーションを上げてがんばってみて下さい。
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パースの知識を身につけるためには、お手本を見ながら実際に描くのが一番です。
古本でも良いのでパースの参考書を何冊か手元に置いておくのがおすすめです。
課題:1点透視で部屋を描いてみよう
では、今回描く部屋についてです。
【課題】
以下の設定の部屋を1点透視を使って描いてみて下さい。
《部屋の条件》
・一般的な住宅の2階にある広さ8畳程度の部屋
・部屋自体は画面中央付近にとった消失点を使った1点透視で描くこと
・部屋は洋室フローリング(カーペット等を敷いてもOK)
・部屋の住人は小学生(5年生~6年生)の男の子
・ベッド、学習机、イス、本棚は必ず配置する(配置場所は自由)
・部屋の右側に廊下から入ってくる入口ドア
・正面と左側の壁に窓があって外が見えている(カド部屋)
・周囲は住宅街、2階建ての一戸建てや公園などがある
・その他、こまかい部分についてはおまかせ
課題に取り組む時間は以下を目安として下さい。
描く前にその部屋を使う人間について設定したり、部屋の大きさや家具のサイズなども調べて事前の準備をしっかりと整えておくとよいでしょう。
【作成時間の目安】
《事前調査・準備》
・30分~1時間 ※あくまで目安。足りなければどれだけ時間を使ってもOK
《作画時間》
・中級者 30分~45分程度 初級者 1時間程度
時間があれば、上記の条件で1度描いてみるとよい勉強になるでしょう。
何でもとりあえず描いてみる人は描かない人の10倍伸びます。
部屋の住人を設定する
描きはじめる前に何を描くのかを決めたり、調べたりしましょう。
いきなり描くのではなく描く内容を事前に整理しておくことが大切です。
描くことを決めずに描きだすと描くものがあいまいになってしまいます。
誰がその部屋に住んでいるのか
部屋を描く時は、まず誰がその部屋を使っているのかを考えましょう。
今回の課題では「小学5~6年生の男の子」ということは決められています。
しかし、それだけでは情報が足りません。
この部屋を使っている男の子のスペックをまず決めてゆくことが大切です。
部屋の住人の設定を決めておくと「趣味はこれだからこういうものが置いてあるだろう」「こういう性格だからものの配置はこう」などと部屋の雰囲気を作りやすくなります。
部屋の住人の身長や性格、趣味は?
では、部屋の住人を設定してみましょう。
今回は「小学5~6年生の男の子」という条件があるので、小学5年生の男の子の部屋ということで設定していきます。
住人の体の大きさ
小学5年生の男の子ですが身長はどれくらいでしょうか?
130cmくらいでしょうか?160cmあるとさすがに大きすぎるでしょう。
よくわからなければ必ず調べてから描きましょう。
これはどのような絵を描く時にも言えることですが、あいまいな情報で描いた絵は、他のすべての努力を無駄にすることになります。
さらに調べることは絵を描くためのインプットを確実に増やしてくれます。
ぜひ調べて描くことをおすすめします。
今はネットもあるので「小学5年生 男の子 平均身長」などと検索すれば、簡単に小学5年生の男の子の一般的な身長がわかります。
検索して出てきたいくつかのサイトを確認してみると、日本の小学5年生男子の身長は140cm~148cmくらいだということがわかりますので今回の男の子の身長は145cmとしておきます。
人の内面が部屋を作る
男の子の身長は設定できました。
しかし、より大切になってくるのは男の子の内面です。
「どういう性格か」「趣味は何か」「利き手はどちらか」「好きな食べ物は?」「犬より猫好きか?」などなど、様々な要素で部屋の雰囲気は変わってきます。
今回はあまり細かく設定せず、性格や趣味などをざっくりと決めておきます。
性格:活発だが、少しせっかちでだらしないところもある
趣味:サッカー 地域の子供サッカーチームに所属している
その他:右利き、朝起きるのが苦手
部屋の住人である男の子の設定はこのようになりました。
絵には表れないところまで設定しておくと◎
今回の課題は男の子の部屋を描くことですが、その絵で見えるところ以外も考えておくと描いた絵の説得力が増してきます。
簡単でもよいので絵で描くのが一番良いですが、文字でメモしておく程度でもOKです。
男の子の家族について
家族の存在が部屋の様子を変えることもあります。
例えば、部屋にサッカーのボールが置いてあったとして、単にボールを置いておくだけよりも「お父さんから去年の誕生日にプレゼントしてもらった」などと設定しておくと、部屋でのボールが置かれている場所なども変わってくるかもしれません。
他にも、ベッドの上にきちんとたたんだパジャマや洋服があれば、おそらくお母さんが持ってきて置いてくれたものでしょう。
このようにキャラクターのバックグラウンドを考えてゆくと絵の持つ深みがさらに増してきます。
今回はお父さん(45歳)、お母さん(43歳)、いもうと(8歳)、そして男の子(11歳)の4人家族としておきましょう。
家の全体像を考えておく
課題として描く部屋は男の子の部屋だけですが、家全体の間取りや外観を決めておくとよいでしょう。
よくある失敗として、家の中と外の設定をちゃんと決めておかなかったために、中の部屋の間取りと外観とでつじつまが合わない家になってしまっていることがあります。
これは簡単なもので良いので、図を描いておくとよいでしょう。
どう描いてよいかわからなければ調べてみましょう。
ネットで検索すると不動産屋さんのサイトなどに一戸建ての間取りなどがのっています。
こういったものを参考にしてみると良いでしょう。自分では考えていなかった部屋や設備などが必要であるということに気がつくかも知れません。
簡単な間取り図を先に描いておくと、家の外観を描かなければならなくなった時にそれをもとに描くこともできます。
色々なことを先に決めておいた方が描きはじめてから楽ができます。
図はこんな感じのラフなものでOKです。
どんな部屋なのか決める
住人である男の子やその他の設定ができあがりました。
次に部屋を作っていくのですが、まず最初に部屋のサイズやそこに置く家具について決めておくとよいでしょう。
8畳の部屋の広さは?
部屋の広さを決めます。
今回の部屋は8畳(畳8枚分)という広さとなっています。
現代の日本の住宅で8畳間というのはかなり広い部屋になりますが、8畳間は床の形が正方形となり描きやすいので、今回の課題では部屋の広さを8畳として設定しています。
今回の部屋は洋室の設定なので畳はありませんが、畳を使って部屋の広さを割り出すのが便利です。
では、実際の8畳の部屋とははどれくらいの広さになるのでしょうか?
以下で考えてみましょう。
1畳の大きさ
1畳とは畳1枚分の大きさです。
畳1枚の大きさは地域や建物によって変わるのですが、今回はわかりやすいように縦180cm、横90cmというサイズにしておきます。これは「中京間」といわれる畳に近いサイズです。
日本の住宅の部屋は、この畳の広さを基準にできるので描きやすくなっています。
他の畳のサイズに興味があれば、調べてみて下さい。
江戸間や京間、団地間などといった畳のサイズがあります。
8畳間の畳の並び方
畳のならびかたにも決まりがあります。
もっとも一般的な8畳間での畳の置き方はこのような感じになります。
180cm+180cmで縦横の1辺が 360cm の正方形となります。
これがこの部屋の床の広さとなります。
今回はフローリングの洋室ですが、日本の部屋の広さは畳が基準になっていることが多いです。
まずは畳で「何畳の部屋で畳はどうならべるか?」を考えてみるとよいでしょう。
床から天井までの高さ
次に部屋の高さ(床から天井までの高さ)を決めます。
こちらは一般的な日本の住宅の部屋の高さを参考にします。
平均的な天井高は240cmになっているようなので、今回もこれに合わせます。
これで部屋としての空間サイズが決まりました。
床面積:縦360cm、横360cm ※8畳サイズ
天井高:高さ240cm
窓とドアのサイズ
部屋の壁に設置する窓とドアのサイズも決めておきます。
まずは、一般的な住宅の窓とドアのサイズを調べておくとよいでしょう。
まず、窓のサイズを決めます。
一般的な住宅の部屋についている窓の大きさは高さ110~150cm、横幅170~180cm、床からの高さ60~90cmくらいになるようです。
今回の部屋の窓のサイズは、高さ120cm、横幅170cm、床からの高さ60cmとしておきます。この窓を部屋の正面と左の壁に設置します。
ドアは右側の壁にあるということになっています。
こちらも、ドアの枠も含めた一般的なサイズは高さ200~210cm、幅70~90cm程度となるようです。
ちなみにドアノブの高さは床から90cm程度になります。
ドアノブはドアの真ん中あたりに描いてしまいがちですが、真ん中より少し下になります。
今回の部屋のドアは、高さ200cm、幅80cm、ドアノブの高さ90cmとしておきます。
今回の部屋の窓とドアのサイズは以下としておきます。
窓:高さ120cm、横幅170cm、床からの高さ60cm
ドア:高さ200cm、横幅80cm、ノブの高さ90cm
設定を活かして部屋をデザイン
部屋の空間サイズが定まりましたので、次に家具の大きさを決めましょう。
写真や映像からアイディアを得る
まずは今回の課題ではベッドと机、イス、本棚は置かなければなりません。
どれくらいの大きさになるかは調べてみましょう。
さらに大きさを調べるだけでなく、色々な写真や映像も見て、これから描くベッドや机のデザインも考えておくとよいでしょう。
日常使っているものでも、良く形やデザインを知らないというものはたくさんあります。
家具のサイズを決める
ベッド、机、イス、本棚はしっかりとサイズを決めておきます。
これらが大きすぎたり、小さすぎたりすると絵としておかしくなってしまいます。
平面図は縦の長さと横幅がわかれば描けますが、このあとで透視図法で立体的にしますので「高さ」も調べておきましょう。
今回の部屋の住人は子供なので、ベッドは子供用サイズにするのがよいでしょう。
家具の大きさは製品によって少し変わるかと思いますが、だいたいこれくらいという一般的なサイズがあると思うので、そこから大きくはずれなければOKです。
今回は以下のサイズとします。
子供用ベッド:縦170cm、横90cm、高さ40cm
学習机:横幅100cm、奥行き60cm、高さ65~70cm
イス:幅40cm、奥行き40cm、高さ40cm ※背もたれ含まず
本棚:幅80cm、奥行き30cm、高さ120cm
季節はいつか?
季節も部屋の雰囲気を作る大切な要素です。
例えば、冬なら部屋にコートがかけてあるかも知れませんし、ベッドの掛布団も分厚いもので毛布も使っているかも知れません。
夏なら逆に室内に扇風機があったり、ベッドの上の布団も夏布団でしょう。
とりあえず、今回は春ごろ(4月中旬)としておきます。
平面図を描いてみる
部屋の大きさ、家具や窓などのサイズも決まりました。
次の手順として平面図を描いてみるのがよいでしょう。
平面図とは部屋を真上から見た様子を描いた簡単な設計図のようなものです。
ここにベッドや机、棚などの配置を描いて部屋をデザインしていきます。
部屋を描き、窓とドアを配置
まず部屋の床を描きます。
平面図ですので、360cm×360cmを想定した正方形を描けばOKです。
他にも色々描きこむことになるので、床はなるべく大きめに描いておきましょう。
このような感じになりました。
床を描き終わったら、次に窓とドアの位置を決めます。
窓は正面と左側の壁にありますので、それぞれの壁の真ん中あたりに設置します。
こんな感じです。
次にドアの位置を決めます。
ドアは右側の壁についていますが、位置はどこと決まっていません。
ただ、この部屋の窓の位置を考えると、この部屋は角部屋です。
部屋の奥側に入口を付けるのは人間の動線として遠回りになって不便です。
逆に手前に入口を付けておけば廊下の先の空間を収納スペースなどとしても使えます。
こう考えると、ドアは部屋の右側手前よりに付けるのが合理的でしょう。
このあたりはこの家の全体的な間取りを先に考えておくと気づきやすいかと思います。
家具を配置する前の平面図はこのような感じでできあがりました。
家具を配置していく
部屋ができて家具を置く準備ができました。
家具を置く時も考えるべきことはたくさんあります。
まず、人間の動線です。
その部屋の住人が使いやすい位置に家具が配置されるようによく考えましょう。
例えばドアの前にベッドがある配置などはNGです。
住人がドアから入って来て、どのように動いて机に座り、ベッドに移動するか…ということをシミュレーションしてみましょう。
次に環境です。
特に太陽の光がどう入るかを考えるとよいでしょう。
今回は窓のある左側を東、正面を南としておきましょう。日当たりの良い部屋です。
おそらく親は子供に日当たりの良い健康的な部屋を与えるという考えからです。
左側が東ですので、ベッドはこの壁によせて置くのがよいでしょう。
カーテンを引いて寝ていても、朝の光が入って来て気持ちよく目覚めることができるでしょう。
学習机はベッドを置いた壁の反対側に置いてみます。
男の子が右利きの設定ですので、ここに机を置くと南側の窓から入る光が手元を明るくしてくれます。
本棚は参考書なども入っていると思うので、学習机のそばに置くのがよいでしょう。
逆に左利きの設定だと南からの光が手元を暗くします。この場合はデスクライトを机の右側につけたり、部屋全体の家具の配置を見直してみるとよいでしょう。
今回は学習机の右隣に本棚を置いておきます。
これで、とりあえず家具の配置も終わりました。
実際に使っている様子を想像してチェック
家具の配置が終わったら最終チェックをしていきます。
家具を置く時にもやりましたが、住人がその部屋をどう使うかシミュレーションしてみましょう。
すべての家具の配置が終わってから、住人の動き(動線)を再確認してみましょう。
人の動きをさまたげるものがあるようなら配置を見直しましょう。
部屋の平面図の完成
チェックが終われば平面図の完成です。
今回の課題の平面図はこのような感じにできあがりました。
これでようやく1点透視で部屋を描く準備が整いました。
1点透視で部屋を描く
住人の設定もでき、部屋の大きさや平面図も決まりました。
いよいよ実際に部屋を描いてゆきましょう。
部屋の空間を作る
まずはいつものようにアイレベル(EL)と消失点(VP)を決めましょう。
今回は画面の中央付近にアイレベルを定め、消失点も視点の中央(VC)とします。
部屋の広さや高さを決める
部屋の空間を1点透視で描いてゆきます。
まずはカメラ手前側の壁から決めていくのがよいでしょう。
これは部屋の床の1辺の長さおよび天井高が決まっているのでそれに合わせます。
床の長さは360cm、天井高は240cmとなっています。
部屋を描く時は床の長さ(横幅)を先に決めるのがおすすめです。
ちょうど部屋の左右が消失点を通る垂直線で均等に分割できるように描くとよいでしょう。
これで右も左もそれぞれ180cmということになります。
次に部屋の高さを決めましょう。
天井高は240cmですので、床の長さ(360cm)と2:3の割合になっています。
床の長さを参考に部屋の高さを描いていきます。
定規で計って描く場合は床の長さを36cmにしておくと天井高は24cmということになります。
半分の18cmで床を描いたとすると、天井高は12cmとなるわけです。
この天井の高さは計算で求めることもできます。
仮に床の長さを20cmで描いた場合、天井高は以下の式で求めることができます。
360(床の長さ):20(描いた床の長さ)=240(天井高):X(描くべき天井高)
360X=4800
X=13.3333333…
床の長さを20cmとした場合は、天井高はだいたい13cmくらいで描くとよいとわかります。
手前の壁(四角形)を描き終えたら、四つの角からVPからパース線を引いておきましょう。
部屋の奥行きを決める
次に部屋の奥行きを決めます。
部屋の空間を描く場合、正しい方法で部屋の奥行きを求めるやり方はいくつかあるのですが、難しくなるので、今回は「だいたいこれくらい」というところで奥行きを決めて大丈夫です。
ただし、このような部屋にならないように注意して下さい。
これでは奥行きがありすぎて、360cm×360cmの正方形の部屋には見えません。
部屋の縦横の辺の長さは同じで床と天井は正方形になるので、正方形になるように意識して描いてみて下さい。デッサン的におかしく見えなければOKです。
サンプルで描いた部屋は「M点法」という方法で奥行きを求めています。
マンガやアニメの絵を描く程度なら、そこまで正確に形を決めなくても大丈夫ですのでここではM点法については詳しく説明はしません。
奥行きを決めたら部屋となる1点透視の箱ができあがります。
空間を分割して整理
部屋の空間はできました。
次に部屋にあるものを置きやすくするために部屋の空間にガイドラインを引いて分割しておきます。
一緒に目安のサイズ(長さ)をメモしておくと、よりわかりやすくなるでしょう。
ELの高さもどれくらいになるか確認しておきましょう。
今回のELは真ん中にとっていますので、高さは約120cmくらいになるでしょう。
これは部屋の天井高が240cmであるから、その半分ということです。
ガイドラインを描く時には、おそらく小学校の算数で学んだと思いますが「対角線の交点を通る直線は四角形を2等分する」というルールを思い出して下さい。
パースがつくと難しく考えてしまいがちですが、正方形や長方形の持つ性質はそのままです。
パースがついた床も四角形がバタンと向こう側に倒れただけです。
今回の部屋も参考となるガイドラインをいくつか描いておくとよいでしょう。
▼パースを使ったグリッドの分割についての詳しい説明はこちら▼
平面図で設計した内容を描いてゆく
空間ができガイドラインも描けたので、部屋の各パーツを置いてゆきましょう。
窓やドアなど壁にあるものを設置
手順的には、家具を描く前に窓やドアなどの壁にあるものを描いてゆくのが良いでしょう。
窓やドアの大きさや高さは平面図を確認しながら、ガイドラインを参考に位置を合わせていきます。
窓やドアを配置して、これで何も家具を入れていない状態の部屋ができました。
引っ越ししてくる前の何もない部屋、といった感じです。
床に家具の配置を描く
次にからっぽの部屋に家具を運び込んでいきます。
しかし、いきなり家具を描いてゆくのではなく、まずは家具を置く位置を決めましょう。
最初にベッドを置いてみましょう。これも平面図の設計図を参照します。
ベッドとなる箱をいきなり描かず、ベッドを置く床に四角形であたりをとります。
四角形はもちろん1点透視のパースに合わせます。
部屋の奥行きの半分が180cmなので、170cmのベッドはそれより少し短くなります。
このような感じです。
ベッドの位置が決まったら、他の家具の位置も床に描いてゆきましょう。
すべての家具の位置を決め終わったものがこちらです。
部屋の家具などを箱で描いてゆく
家具の平面的なサイズや位置が決まったら、これを箱にしてゆきます。
箱でラフを描いてゆく
では、あたり位置に描いた四角形を箱として立体的に描いてゆきます。
家具の箱の高さは事前に決めたものに合わせましょう。
ベッド、学習机、イス、本棚のすべてが箱で描けました。
「ものさし」として住人を配置
部屋のレイアウトがある程度描けたら、基準となるその部屋の住人を描いてみると良いでしょう。
アイレベルの高さ(120cm)や、すでに描いた箱を参考にして描いてみましょう。
ここで描く人物は家具などの大きさや高さを確認する「ものさし」として使います。
実際にその人物がイスに座れるか、ベッドに寝られるかなど確認します。
今回は小学生の男の子が住人です。身長なども設定に合わせます。
人物はあくまで「ものさし」なのでラフで描いておけばOKです。
箱を家具に変える
「ものさし」の住人で箱の大きさをチェックできたら、箱を家具にしていきましょう。
事前に調べたデザインなども参考に実際に使うことを考えながら描いていきます。
これで指定のあった家具はすべて描けました。
課題としてはこれで完成です。
部屋に生活感を加える
しかし、このままでは生活している感じが足りません。
空いているスペースもあるので、そこも有効に活用した方がよいでしょう。
床の空いているところには、ラグを敷いて座卓を置いて空間を埋めてみます。
生活感が出るように座卓の上にはカップやマンガなどを置いてみます。
さらに学習机の上にはデスクライトや教科書、壁には部屋の住人の趣味や年齢にあわせた掲示物やポスターなどを貼って、その部屋で住人が生活している様子を描きましょう。
サッカーボールなどの決まったサイズがあるものは人物のラフと大きさを合わせながら描きます。
住人が部屋に入って来て、机やベッドを使う動線などを考えて「部屋に入ってきたら、かばんはここに掛ける」「座卓を使う時はここに座ることが多い」など普段の住人の生活を考えて小物を配置してゆくと部屋に実在感を与えられるでしょう。
普段使っているものの置き方などで住人の性格を表すこともできます。
窓にはサッシやカーテンを、壁には巾木(幅木)や照明のスイッチなどを描き加えていきます。
室内の細部がある程度描きこめたら、窓の外も描いておきましょう。
窓から見える風景です。
場所は住宅街ということだったので、同じような2階建て住宅を描いておきます。
ここも注意すべきはアイレベルである目線の高さです。
隣にある家が極端に大きくなったり、小さくなったりしなように気をつけましょう。
他の家も同じ人間が使っていることを意識して描きます。
窓の外を描いたら、再度部屋の中を確認しておきましょう。
普段の生活でなげなく使っているものは見落としがちなので、自分の部屋などを見渡して確認してみるのもよいでしょう。
今回はエアコンと、住人が小学生なのでランドセルを追加で描いておきます。
住人の男の子はせっかちでだらしないところもあると設定されているので、ランドセルは投げ出された感じにしておきます。
学校から帰って来てランドセルをポイっと置いてあそびにいった感じです。
最後に住人が、本当にその部屋を使えるのかを確認しておきましょう。
イスなどには実際に座らせてみるのもよいでしょう。
サイズは合っているが、机とイスの隙間がせまくて脚が入らない…ということがないように。
最後のチェックが終わって問題がなければ、ようやく完成です。
お疲れ様でした。
最終的にはこのような感じになりました。
▼【動画】今回の部屋を描く手順の解説動画▼
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A・ルーミスの名著『初めてのイラスト教室』の再編集復刊版。
ルーミス自身の説明図に加え、復刊にあたりより詳しい日本語版の解説図が追加されています。パースの基礎から応用まで幅広く学ぶことができるおすすめの1冊です。
要点まとめ
では、今回の要点まとめです。
かなりの長丁場となりましたが、今回のような部屋が描ければ、1点透視を使ってもうほとんどのものが描けるようになったと言ってよいでしょう。
2点透視や3点透視にも応用が利く知識や技術ですので、ぜひ身につけておいて下さい。
まずはこれが基本となってきます。
次回はパースの勉強におすすめの参考書と使い方を紹介します。
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