《初級者~中級者向け》
絵を描く時に「見えない部分」を考えて描く癖をつけることはとても大切です。
例えば、こちらのコップを持った手。

一見、問題ないように見えますが、コップを取り除いてみると…。
明らかに人差し指が長くなってしまっていることがわかります。

「見えない部分」は省略して描くことができる部分ではなく、描くものの正確な形をとらえるのならば、一番意識して描く必要がある部分でもあります。
「見えない部分」を意識して描くことは、絵を描く力を伸ばすためには欠かせない考え方です。
今回の記事は、この「見えない部分」の考え方と描き方について解説します。
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今回の記事でわかること
今回の記事を読めば以下のことがわかります。
描く癖がついていないと「見えないところ」はついつい省略して描いてしまいがちですが、正確な絵を描くためには、この「見えないところ」こそ重要です。
「見えないところ」を意識して描くことで、正確な形でものを描く癖がつきます。
そして、その考え方がものを正しくとらえる目を育ててくれます。
見えないところを描くことの大切さ
こちらは最初に出したコップを持つ手です。

こういった何かに隠れた部分がある絵は、隠れた部分のことも意識して描かないと思わぬ失敗をしてしまいます。
ここでの失敗は手の形です。

コップに隠れてしまった部分を考えて描く癖がついていないと、指が伸びていても気付きません。
こういった失敗は実のところよくあります。
見えない部分を描く方法
こういった失敗をしないためにはラフを描く時点で、正しい形を取っておくことです。
つまりコップで隠れた手の見えない部分もラフでは描いておくということです。

実際に観察できる場合は、手からコップを取ってみてもよいでしょう。
コップを持つ手の形状をラフで描いた上からコップを描きます。

この順番で描いていけば、見えない部分も考えた破綻の少ない絵を描くことができるようになるでしょう。


いろいろな見えない部分
絵を描く時に見えていない部分というのは、今回の「コップを持つ手」以外にも色々あります。
ここではよくある失敗例と対処法を見ていきます。
髪の毛で見えない頭の形
絵を描き始めた頃によくあるのが頭部の形のとらえ方を失敗している例です。
例えば、こちらの絵。

見た目は問題ないように見えますが、ここで大切になってくるのは、この時に頭の形をどのように認識しているかです。
このキャラをスキンヘッドにしてみると、頭の形のとらえかたを間違っていることが多いのです。


ここで頭の正確な形を見えなくしてしまうのは髪の毛です。
ラフで頭の形をとってから描く癖がついていないと、髪の毛を分厚く考えすぎてしまいます。

目や鼻といった顔のパーツの次に頭部で目立つのが髪の毛で、キャラの雰囲気を決めるとても見栄えのする部分です。
そのせいか、キャラの頭を描く時についつい分厚く認識してしまうようです。
しかし、実際に自分の頭をさわってみると、髪の毛から頭皮までの幅はとても薄いことがわかります。
こちらの対処法としては、まずはラフの段階で正確な頭の形状をとってから描きはじめることです。

ラフの時点で人体構造に則った正確な頭を描いておけば、髪の毛を描くことで頭の形のとらえかたを間違えることはありません。

髪の毛は頭にくっついた薄い付属物であると理解しておきましょう。
メインはあくまで頭です。
頭を描く時はスキンヘッドの状態から描きはじめる癖をつけておきましょう。
背中にかついだ剣が折れる
これもよくある失敗例です。
こちらの絵が、その失敗の一例です。

背中にかついだ剣の大部分が体に隠れて見えていないのですが、よく見ると剣の持ち手の部分と先端の部分で位置がずれていることがわかります。

これも「見えない部分」を意識しないことでよく起こる失敗です。
こういった何かに隠れて見えないものもラフの時点で正しい形を取っておきましょう。

持ち手の部分の延長上に先端部分があると考えれば、形の把握は簡単です。
剣は直線状のものですので、背中に一本直線を引いておくだけでも、剣が曲がっているというような絵を描く事態は避けられます。

特にこういった、一度何かに隠れてまた出てくるといったものは要注意です。
最初に必ずラフで形を取っておきましょう。

円柱の見えない部分
これはデッサン的な要素やパースの知識が関わって来るので少し高度な内容になります。
しかし、かなり大事な部分でもあります。
円柱はラフを取る際に使う基礎的な形のひとつです。
ラフを取る時の円柱は、それほど正確な形状でなくてもよいのですが、それでも正しい形を描けるにこしたことはありません。
この円柱を描く時も基本的には見えないところも考えて描くのが良いでしょう。
この時、重要になるのは円柱の両端の円部分の見え方です。
例えば、円柱を立てた場合、円柱の上の面に来る円は見えますが、底になる面の円の形はすべて見えません。
この上下の円の見え方が正しくないと、デッサン的に崩れた円柱を描いてしまうことになります。
パースも考えた見え方を考えて、円柱の見えない部分も描いてみましょう。
円柱の形が崩れずに描けるようになれば、かなりの画力があると言えるでしょう。
要点まとめ
それでは、今回の要点をまとめです。
「見えない部分」は「描かなくていい部分」ということではありません。
それどころか、正確な絵を描こうと思うのであれば「見えない部分」こそしっかり描こうという意識がとても大切です。
見えないところも含めて形を正しくとらえようとする努力は、確実に画力を伸ばしてくれます。
そのためにも見えないところを含め、ラフで正しい形を取る癖をつけておきましょう。
それでは、また次回。
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