《全レベル対象》
今回から美術系の大学や専門学校への進学について話をしてみようと思います。
ちょっと長くなるので1回目は「進学すべきか現場に入るべきか」、2回目は「美術系大学・専門学校へ進学するメリットとデメリット」、3回目は「失敗しない学校選び」を主なテーマとして計3回にわけて話します。
美術系大学、専門学校への進学について悩んでいる人は読んでみてください。
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はじめに
マンガやアニメを仕事にするのに大学や専門学校への進学は必要?
いきなり現場に入ることをめざした方が良いのかな…
将来マンガやアニメ、イラストといったクリエイティブ系の仕事をしたいと考えている中学生や高校生の多くがこのような悩みを持っていると思います。
今回はこの進学に関する問題について、実際に複数の大学や専門学校にて15年以上の教員歴を持ち、さらにアニメーションの制作現場では約10年にわたって新人の教育にたずさわってきた経験から、いくつかのアドバイスをしてみようと思います。
これからお伝えするアドバイスは、大学や専門学校の教員として同じような質問をしてきた人たちに対して実際に答えた内容のいくつかになります。
ただ、ここに書くのはあくまで長年の教員経験を通じて感じた私の個人的な意見です。
最終的にどのような選択をするかは、あなた次第です。
美術系の大学や専門学校への進学について悩んでいる時の参考にしてもらえればと思います。
大学や専門学校でマンガやアニメを学ぶべき?
さてマンガやアニメを職業にしようと考えた時にマンガやアニメの学部や学科のある大学や専門学校に進学する必要はあるでしょうか?
正直なところを言うと私は特に必要ないと思います。
美術系大学の教員の立場にありながら身も蓋もない言い方ですが、行くと決めているなら行けばよいし、そうでなければ他の選択をしても良いと思います。
実際の現場にもマンガやアニメの学部や学科のある大学や専門学校を卒業したという人はそれほど多くない印象です。現場で活躍する人たちの出身や学歴は本当にいろいろです。
ただ、もちろん美術系の学校に進学するメリットも色々あるので、それは次回以降に話します。
進学するか現場に入るか?
マンガやアニメの仕事に就きたいと希望する若い人が、まず迷うのが「進学するか?早めに現場に入るか?」というところでしょう。
ここについては若いうちに現場に入って学ぶことには大きな意義があると言えます。
特にマンガやアニメなどの絵を描く仕事に就きたいという場合、絵を描く力は若ければ若いほど伸びやすいので、早めに現場に入ってそこで実際の仕事を通して学ぶことの意味は大きいです。
進学を選んだ場合は短くても2~4年程度は学校に在学することになります。
これは逆に言えば、進学すると2~4年も現場に入る時期が遅れてしまうということでもあります。
現場と学校で教えた私の経験から言えば、大学や専門学校で2年から4年かけて学ぶ程度の内容であれば現場なら半年から1年程度の短期間で学校よりも実用的な形で学ぶことができるでしょう。
学校で学ぶようなことは、すべて現場で学ぶことができます。
現場での学びは本当に多大で有益です。これは学校とは比較になりません。
現場でおこなう作業はお金をもらう「仕事」です。学校の課題とは緊張感が違うので、技術や知識の身につき方も明らかに異なってきます。
もし様々な条件が整い、マンガやアニメを仕事にしていくという覚悟も決まっているのであれば早めに現場に入るという選択はありでしょう。
現場なら大学や専門学校で学ぶ知識や技術の大半は半年~1年で学びとることができる
一度現場に入ってしまえばそういった学校に行く必要性は感じなくなってしまうでしょう。
中卒、高卒で現場に入るデメリット
高卒で、中には中卒でマンガやアニメを仕事にしようと現場に入ってくる人はいますが、その最大のデメリットは、やはりその業界で通用しなかった場合の方向転換が難しい点でしょう。
今の日本はまだまだ就職や転職に際して学歴が重視されるところがあります。
大学進学率が50%を超える時代に高卒、中卒の学歴で他の仕事に就こうと思っても大卒の人にくらべると、その選択肢は確実に少なくなってしまうでしょう。
マンガやアニメの仕事は外から見ると楽しそうに見えるかも知れませんが、実際はかなり過酷な仕事であることも知っておいて下さい。
入って1~2年でやめてしまう人もたくさんいます。
高校卒業後すぐに現場に入るなら、業界の実情や仕事についてしっかりと調べるべきでしょう。
さらに「〇年やっても思ったような結果が出なければあきらめる」ということも事前に自分で決めておくと良いでしょう。
別の仕事へと転職する時も年齢が若い方が有利です。
結果が出なければ、気持ちをしっかりと切り替えて次の道に進んだ方が良いです。
これは大学や専門学校を卒業してから業界に入った場合でも同じでしょう。
何の目標も成果もなくただ現場にずるずると居続けて、年だけとってしまう…というのは人生の無駄使いです。
ダメだった時にどう切り替えるのかは、常に考えておくと良いでしょう。
現場で思った結果が出なければ若いうちに切り替えて別の道に進むことを考えておく
一般大学との比較検討
さらにもうひとつ比較検討の対象となるのが一般の大学への進学でしょう。
もしあなたが数学や語学などの一般教科を学ぶことが好きで、美術系以外にも学びたいことがあるのであれば一般の大学への進学を選択してみても良いでしょう。
特に学科の成績が良く社会的な評価の高い大学に進学できるような状況で迷っているなら、そちらの一般大学へ進学することをお勧めします。
過去に私のところに相談に来た何人かの高校生にもそのように勧めたこともあります。
変な言い方かも知れませんが、評価の高い大学を卒業した方がその後の選択肢は確実に増えます。
もちろんマンガやアニメの業界もその選択肢の中に加えることが可能です。
大学進学は日本では一生を左右するような選択のひとつです。
一時のマンガやアニメへのあこがれや興味関心だけで安易に決めるべきではないでしょう。
マンガやアニメを一生の仕事にする覚悟があるか何度も自分に問うてみるのがよいでしょう。
美術系の大学や専門学校はクリエイティブ系の職種への就職などは有利かも知れませんが、他の一般企業への就職となると色々と苦労することが多いように感じます。
一般の大学に進学してみて、どうしてもマンガやアニメの仕事をしたければ、その大学を卒業して業界を目指す方法はいくらでもあります。私も普通の総合大学の文学部の出身です。
ネットを駆使すれば、無料で絵の描き方について学ぶこともできる時代です。
あなたが本気で挑み、努力を怠らないのであれば一般大学からでも望む道を切り開くことができるはずです。
美術系の大学や専門学校を出た人たちに絵でかなわないというのであれば、マンガの編集者やアニメの制作進行など絵を描かない職種を選択して業界に入るという方法もあります。
絵をうまく描く力だけでは面白いコンテンツは生み出せません。
魅力的なコンテンツを作るためにどれだけのインプットをしてきたかが重要です。
マンガやアニメの仕事に就こうとする場合も、今の時代はネットでクリエイティブ系の職種の就職情報も簡単に調べることができます。
美術系の大学や専門学校との就職における情報面の有利不利の差も少なくなってきていると思います。
一般の大学に進学してもアニメやマンガの業界に進む方法はたくさんある
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要点まとめ
今回の要点をまとめておきます。
今回は中学や高校卒業後、すぐに現場に入ることを中心に話してきました。
しかし、いきなり現場に入るには勇気もいるでしょうし、それなりのリスクも伴います。
絵を描く仕事をしたい気持ちに変わりはないが、しっかりと自分の実力も確認しながら、心の準備をしてからマンガやアニメの世界に挑みたいという人もいるでしょう。
そういった人にとって有力な選択肢となってくるのが美術系大学・専門学校への進学です。
次回はマンガやアニメ関連の学部や学科を持つ美術系大学・専門学校へ進学するメリットとデメリットについて考えてみます。
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