《初心者~中級者向け》
意外と描くのが難しいのが「腕を上げた人」「バンザイした人」です。
これがスラスラ描ける人は、人体の構造をよく理解できています。
人間がどう腕を上げるかを知らないまま描くと、こんな感じになりがちです。
特に腕を上げた時の肩まわりをどう描くのかという壁にブチ当たります。
人間の肩がロボットのように肩ごとグルンと動くなら良かったのですが、人間の肩まわりの構造や腕を上げる仕組みはなかなか複雑です。
ロボットとは違って、腕を上げた人間は胸から肩にかけての構造や腕を上げた時に骨や筋肉がどう動くのかを知らないと描くことはできません。
やはりここでも「知識」が重要になってきます。
知らないとまったく描けないのですが、知っていると描けるようになるのが「腕を上げた人」です。
人の肩まわりの構造や理屈を知って、バンザイした人間を描けるようになっておきましょう。
▼前回の記事はこちら
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今回の記事の内容
今回の内容です。
まずは腕をおろした普通の状態で人の胸と肩、腕にかけての構造を確認します。
腕を上げるという動き以外でも、肩まわりの構造を知っておくことは重要です。
基本的な構造を知った上で腕を上にあげると、骨や筋肉がどのように動いて、どのような見え方になるのかを確認してみましょう。
構造と動きの理屈を知れば、腕を上げた人は意外とすぐに描けるようになります。
人間の肩まわりの基本構造
人間の胸から肩あたりの骨や筋肉はどのようになっているのでしょうか?
腕を下ろしたノーマルの状態でその構造を見てみましょう。
写真で見る胸と肩まわりの筋肉
まず、写真で見てみます。
胸や肩、腕の様子は比較的目にする機会も多いでしょう。
胸の大きな筋肉などは「大胸筋」という名前を知っている人もたくさんいると思います。
こちらの写真におおまかな骨や筋肉の位置と名前を示してみるとこのようになります。
以下、解説図を使ってもう少し詳しい構造を見ていきます。
見えている筋肉の構造
まず肩回りの骨と筋肉の構造を見てみましょう。
絵で描くとこのような構造になっています。
上の写真でも見たような感じの見慣れた筋肉が多いのではないでしょうか。
これらは皮膚のすぐ下(浅層)にある筋肉です。
細かい筋肉はもっとあるのですが、絵を描く程度なら代表的なものをおぼえておくだけでOKです。
まずはこの腕を下ろしたノーマルの状態の構造をおぼえておくことが大切です。
この基本的な構造が腕を上げた状態を描くための基礎となります。
表面に見えている筋肉の下の構造
さらに胸や肩まわりの構造や動きの理屈をよく知るためにより深い層の構造も見ておきます。
こちらは先ほどの浅層の筋肉を取り除いた状態の骨と筋肉(中層)です。
こうして見ると、胸の大胸筋は上腕の骨とくっついているのがわかります。
つまり胸の筋肉である大胸筋は腕を動かす時にも作用するということです。
この大胸筋が上腕骨とつながっているというのは、腕を上げる動きにおけるポイントになります。
人間の肩回りは複雑な骨と筋肉のつながりを持っていますが、これが腕を上げることを含めた肩関節の大きな動きを可能としているのです。
絵を描く時には、今回の肩まわりの構造に限らず、少しずつでもよいので基本的な人体の構造を学んでいくと良いでしょう。
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《人体の構造が学べるおすすめ参考書》
『人体デッサン』 視覚デザイン研究所
色々な人体の描き方について詳しく勉強できる初心者にもおすすめの一冊です。
参考に出てくるマンガのキャラクターなどは少し古いですが、人体全体に加え、腕や脚、頭部など各部位に特化した説明もたくさんあってわかりやすい参考書です。
『やさしい美術解剖図』 マール社 J・シェパード著
人体の骨や筋肉の詳細を説明した美術解剖図です。
美術解剖図はより詳しく人体構造を学ぶなら、ぜひ持っておきたい1冊です。
ただ美術解剖図だけでは人体の全体像がわかりにくいので、上であげた『人体デッサン』のような人体全体について解説した参考書と合わせて使うのがおすすめです。
腕を上げるとどうなるか?
次に本題である腕を上げた時に、この骨や筋肉がどう動くのかを確認します。
ロボットのような単純な構造の肩を持たない人間の腕を上げるためには、この骨や筋肉がどう動くのかを知っておくことが重要になってきます。
腕を上げた状態
最初に腕を上げた状態も写真で見ておきましょう。
こうして見てみると腕を下ろした時と骨や筋肉の見え方が変わっていることに気付くと思います。
ここで特に大きく形が変わっているのが「鎖骨」と「大胸筋」です。
腕を下ろした写真とならべて見てみるとわかりやすいかと思います。
さらに筋肉の位置を示した写真でも見くらべてみましょう。
こうしてくらべてみると、腕を上げた方は鎖骨や大胸筋が腕といっしょに上へ引っ張りあげられているようにも見えます。
ここで思い出すべきは大胸筋が上腕骨とつながっていたということです。
上腕骨が上にあがったことで大胸筋が上に引っ張られたわけです。
さらに大胸筋とくっついている鎖骨も同じように上へと引っ張られます。
文章ではちょっとわかりにくいと思うので、以下で詳しく図解していきます。
腕を上げた時に見える筋肉
腕を上げるとどのように変化するのか詳しく図解してみます。
こちらは先ほど見た腕を下ろしたノーマルの状態。
ここから腕を上げると…。
こうなります。
先ほど見た鎖骨と大胸筋の変形ですが。
鎖骨は上に引っ張られて、平行にならんだ状態から「逆八の字」の形に。
大胸筋も上に引っ張られて正方形に近い形から「ひし形」へと変化しています。
腕を上げた状態を描くためには肩まわりの構造に加えて、この鎖骨と大胸筋の見た目が変わることを知っておくことが重要です。
さらに見え方が変わる部分があります。
それが腕です。
腕を下ろした状態では、上腕部分で主に見えているのは上の図で紫色で塗った「上腕二頭筋」でした。
この上腕二頭筋は「力こぶ」になる筋肉で、肘を曲げる時に作用する筋肉です。
この上腕二頭筋は腕を上げた状態では、ほとんど見えなくなり上腕二頭筋の裏にある朱色で塗った「上腕三頭筋」がよく見えるようになります。
この上腕三頭筋は肘を伸ばす役割をする筋肉です。
腕を上げることで腕の裏表が入れ替わり、裏の上腕三頭筋が見えるようになるとおぼえておくとわかりやすいでしょう。
さらには腕を上げたことで背中側の広背筋という筋肉もよく見えるようになります。
この広背筋は背中側から上腕の骨にくっついている筋肉です。
広背筋と大胸筋、上腕三頭筋が組み合わさる部分のくぼみが「脇の下」となります。
このように人間の肩まわりの構造は複雑で、さらにどのように動くのかということを一緒に知っておく必要があります。
この見え方の変化を知っておくと腕を上げた人が簡単に描けるようになります。
人体の構造について詳しく学ぶことができるおすすめの参考書についてはこちら▼
要点まとめ
最後に今回の要点をまとめておきます。
要点はひとつです。
腕を上げた時の構造をおぼえておくことです。
つまり、以下の図をおぼえておくことです。
腕を下ろした状態の構造をおぼえた上で、腕を上げたら筋肉がどう動いて、どう見えるようになるのかを知っておけば腕を上げた人は描けるようになります。
今回は腕を上げた人の肩まわりの構造を見てきましたが、人間の肩は非常に複雑な構造を持っていて、そのためにとても複雑な動きをすることが可能な関節です。
腕を上げる動きは肩関節の「外転」や「屈曲」とよばれる動きになります。
これらは多様な肩関節の動きの一部ですが、肩を動かす時によくやる動作でもあるので、肩関節の動きの基本として知っておくとよいでしょう。
次回は意外に描きにくいものの第2弾として「腕を組んだ人」の描き方を解説します。
腕を組むというポーズも、理屈さえ理解すれば簡単に描けます。
ポイントはどういう動きで腕を組み、組んだ腕がどういう役割をしているのかを知ることです。
それでは、また次回。
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