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絵を描くための重心基礎講座②~両足で立つ人間の支持基底面~

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絵を描くための重心基礎講座②~両足で立つ人間の支持基底面~ 人体の描き方
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《初級者~中級者向け》

今回は人間の重心と支持基底面についてです。

人間の重心と支持基底面の関係を知れば、立っているキャラクターも安定して描くことができるようになるでしょう。

ティッシュの箱による重心と支持基底面の基本的な解説はこちらから▼。

 

【簡単&重要】絵を描くための重心基礎講座①~重心と〇〇〇を知ろう!~

 

今回の動画バージョンはこちらから▼

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今回の授業内容と難易度

それでは、今回の内容です。

  • 人間の重心位置について
  • 両足で立つ人間の支持しじ基底面きていめん
  • 体を動かして重心と支持基底面を理解しよう

今回は両足で立つ人間の重心と支持基底面について解説します。

人間も基本的には箱と同じような重心と支持基底面の関係を持っています。

箱と同じく人間も支持基底面上に重心がある場合に立つことができるという点は変わりません。

箱と変わるところがあるとすれば「人間は自分の意思で動く」というところでしょうか。

  • 難易度なんいど 3:★☆☆
  • 重要度じゅうようど 5:★★★★
  • 画力向上度がりょくこうじょうど 5:★★★★★

人間を描くために重心と支持基底面の知識はとても重要です。

まずは両足重心りょうあしじゅうしんで立っている状態じょうたいの人間を使って基本を解説します。

両足重心で立つ人間の支持基底面

まず人間の重心位置と支持基底面について見ていきます。

人間の重心の位置

両足に重心をかけて立っている、いわゆる「両足重心」の状態じょうたいで腕を下げて普通に立っている時の人間の重心位置は骨盤こつばん(腰の骨)の中に位置します。

絵で描くとこのあたりです。

人間の重心の位置図

重心の位置は性別や体格で少し違ってくるようですが、普通に立っている状態であれば、だいたい足の裏から約54~56%くらいの高さである「おへその下あたり」に来るようです。

※今回の素体は男性型のモデルにしています。

とりあえず、人の重心位置はおおよそ「おへその下あたり」とおぼえておくと良いでしょう。

ただ、人間の重心の位置は箱のように固定されたものではないということも知っておきましょう。

人間が体を動かすと重心の位置は変化します。

例えば腕を上にあげるだけで重心位置は少し上にあがります。

場合によっては体の外に重心が出てしまうということもあるようです。

しかし、かなり激しい運動でもない限り重心位置は人の骨盤のあたりにおさまります。

とりあえず立って何らかのポーズをとっている人物を描く程度であれば、重心は「おへその下あたり」とおぼえておいて問題はないでしょう。

「気をつけ」の姿勢は不安定

ここに2つのポーズで立っている人間がいます。

2体の立位姿勢比較

みなさんは、どちらがより安定した状態で立っていると感じるでしょうか?

重心の位置はどちらも先ほど説明した「おへその下あたり」とします。

これは今までの経験から「左側の両足を広げて立っているポーズ」だと感じたのではないでしょうか。

では、なぜ右の「気をつけ」のポーズは不安定だと感じるのでしょうか?

実は、ここに人間の重心と支持基底面が関係しています。

両足で立つ人間の支持基底面は広げた両足の幅

両足で立っている状態の人間の重心と支持基底面の関係を見てみましょう。

人間の重心の位置は普通に立っている状態だと「おへその下あたり」と説明しました。

次に支持基底面はどうでしょうか。

先ほどの両足を広げて立っている人間の絵で説明するとこのような感じです。

両足重心の時の人の支持基底面

緑で示した部分が支持基底面になります。

人間が両足に重心をかけて立っている時の支持基底面は広げた両足の幅になります。

人間が両足で立つ時は、この両足を広げた幅の上に重心がある場合に立っていることができると言うことができます。

これが人の重心と支持基底面の関係の基本となります。

重心線について

ここで重心線じゅうしんせんについても簡単に説明しておきます。

こちらの図で重心から下にのびるように描いている矢印は重心線じゅうしんせんと呼ばれるものです。

重心線説明図

重心線は人や物の重心を通って、地球の中心に向かってのびていく線です。

この途中に支持基底面が存在すると人や物はその姿勢を保つことができます。

重心線が重心から地球の中心へと向かう途中に支持基底面が存在する場合、人や物はその姿勢で安定することができると言えるでしょう。

逆に言えば、重心線が支持基底面を通らない場合は姿勢を維持いじすることができません。

例えば坂の上に箱や人が置かれている場合などです。

坂の上に立つ人と箱

このケースでは重心線が支持基底面を外れてしまっているので…

ころがる人と箱の図

このままでは箱も人も姿勢を維持することができません。

重心線は絵を描いた時の物の安定を見る目安になりますので、おぼえておきましょう。

「気をつけ」のポーズが不安定な理由

さて、先ほど両足重心の時の人の支持基底面は両足を広げた幅だと説明しました。

そこから考えると「気をつけ」の足をそろえたポーズが不安定になる理由がわかると思います。

ポーズの違いによる支持基底面の広さ

足を広げたポーズより「気をつけ」の足をそろえたポーズは支持基底面がせまくなっています。

「気をつけ」の両足をそろえたポーズになると、人はこのせまい支持基底面の上に重心をのせることが必要になってくるのです。

「気をつけ」の姿勢は支持基底面がせまいため不安定と感じるのです。

人間の優れた姿勢制御システム

人間は自分の意思で動くので重心と支持基底面の関係は常に変化しています。

「気をつけ」の不安定なポーズでは支持基底面から重心が外れて倒れてしまう可能性が高まります。

しかし、箱と違って人間はとても優れた姿勢制御しせいせいぎょのシステムを持っています。

箱は何らかの影響で傾いて重心が元の支持基底面から出てしまうと、あとは傾いた側に倒れてしまうだけですが、人間はそうはなりません。

傾いた箱の図

何より倒れるということは人間にとって非常にリスクのある状態です。

倒れると痛いですし、ケガをするかも知れません。

最悪の場合、骨が折れてしまう…なんていうことにもなりかねません。

けれども、重心が支持基底面から出てしまうことは生活しているとよくあります。

例えば、このような状態になった時、皆さんの体はどう動くでしょうか?

「気をつけ」で立っている時に、友達がふざけて体を押して来ました。

こういった時に、もし人間に姿勢制御のシステムがそなわってなかったらどうなるでしょうか。

もし人間に姿勢制御の機能がなかったら

重心の傾いた方向に倒れてしまうことになります。

人間にとってこれはけたい事態じたいです。

こういった場合、倒れるという危険な状態にならないように人間の体はある行動をとります。

体を押された時に人間がとる行動は?

どういった行動をとるかわかるでしょうか?

人に押されなくても、例えば電車に立って乗っている時に車両がゆれてよろけたりすると人間は同じ行動をとることがあります。

人間の持つ優れた姿勢制御システム

そうです。倒れないように倒れそうな方向に足を出すのです。

みなさんも今までの人生で何度もやったことのある行動ではないでしょうか。

では、これ。何をしているのかわかるでしょうか?

 

実はこれ、倒れないように新しい支持基底面を作っているのです。

倒れそうな時に人が足を出す理由

箱は倒れた先で新しい支持基底面を作って安定していましたが、人間は倒れないように足を動かして支持基底面を広げる行動をとるのです。

優れた姿勢制御システムによって、人は倒れるという最悪の事態を避けるために足を出して支持基底面を新しく作り出すということができるのです。

これは意思のない箱にはできない芸当げいとうです。

先ほどの坂の上に置かれた状態でも人間はこの姿勢制御システムを機能きのうさせます。

姿勢制御システムを機能させる人間ところがってしまう箱の図

人は坂道をころがらないように坂の傾斜けいしゃに対して脚をふんばります。

ふんばった足の下に支持基底面を作って、坂の上に立つことを可能にします。

しかし、箱には姿勢制御のシステムがないのでころがるか、そのまま重力に引かれてずるずると坂道を滑り降りていき、坂の下の終点で倒れることになるでしょう。

このように人間はとても優秀な姿勢制御システムを持っているので、多少バランスを崩したり、環境が変化した程度では倒れることはありません。

倒れないように、とっさにリカバリーする行動をとることができるのです。

人はなぜこけるのか?

しかし、それでも人はこけてしまう(倒れてしまう)ことがあります。

人がこけてしまう時は、この優れた姿勢制御システムをもってしても重心を支持基底面の上にのせきることができなかった場合ということです。

逆にこけそうな人間を描きたい場合は、重心と支持基底面をリカバリー不可能なくらいにずらしてやる必要があります。

少しくらい重心と支持基底面をずらしてこけそうなポーズの人を描いても、そう見えません。

こけそうに見えないポーズ

こけそうな人間を描く場合に多いミスがこれです。

十分に重心と支持基底面がずらしきった絵になっていないのです。

こけそうなポーズを描くポイント

こけそうな人を描くためにも人間の重心と支持基底面の関係の知識が必要となるのです。

これを知らずにこけそうな人間を描くことはできません。

人間の重心と支持基底面の基本的な関係は、ぜひおぼえておきましょう。

体を動かして重心と支持基底面を感じてみよう

重心と支持基底面を理解する一番よい方法は自分の重心を意識しながら体を動かしてみることです。

実際に体を動かしてみる時は周囲に危険なものがないか安全には十分に気をつけて下さい。

立っておこなう場合は体をすぐに支えられるように何かつかまるところが近くにあると良いでしょう。

体を動かして重心と支持基底面を理解してみよう

重心を意識しながら立ってみましょう。

その時、あなたのおへそあたりに重心があります。手をあてて意識してみましょう。

そして立った状態で広げた両足の幅が今のあなたの支持基底面です。

こちらも足もとを見て確認しておきましょう。

準備ができたら、その状態から体を少しだけ前に傾けてみましょう。

ゆっくりと慎重に傾けて下さい。よろけない程度で大丈夫です。

どうでしょうか?

「これ以上体を傾けたら倒れる!」と思うポイントがあり、脳から「これ以上かたむけるな!」という命令が来たのではないでしょうか。

そこが重心が支持基底面から外れる直前のギリギリのポイントです。

このギリギリのポイントを行き過ぎてしまった場合は倒れないように足を出します。

人間はとても優れた姿勢制御しせいせいぎょのシステムを持っているという話をしました。

脳は重心と支持基底面の関係を知っていて、体が倒れる(こける)というリスクのある状態じょうたいにならないようにこの姿勢制御しせいせいぎょシステムを使って指令を出しているのです。

普段、何気なく立っている時や歩いている時なども重心と支持基底面を意識してみると良い勉強になるでしょう。

要点まとめ

では、今回の要点まとめです。

  • 人間が立っている時の重心の位置は「おへその下あたり」
  • 両足で立つ人間の支持基底面は両足を広げた幅になる
  • 自分で体を動かして重心と支持基底面を感じてみよう!

重心はすべてを正しく理解しようと思うと、とても複雑ふくざつなものです。

今回の説明では立っている人間の重心の位置は「おへその下あたり」と説明しましたが、箱などの物と違って、自分で動くことのできる人間の重心の位置は常に変化するということも知っておいて下さい。

しかし、絵を描く程度であれば人間の重心は、だいたいおへその下とおぼえておけば十分です。

私もそれで困ったことは今までのところありません。

次回は片足で立った時の人間の重心と支持基底面について説明します。

優れた姿勢制御のシステムを持つ人間は「片足で立つ」という状態になれます。

片足立ちの状態になると人間の重心と支持基底面は両足重心の時とどう変わるでしょうか…。

では、次回もお楽しみに。

 

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