《初級者~中級者向け》
今回はマンガやアニメでよく出て来るいわゆる「萌えキャラ」の顔の描き方についてです。
▼前回の老人の顔の描き方についてはこちら▼
萌えキャラなどと呼ばれるキャラクターは本来の人間の頭の形から大きくデフォルメされた頭部を持っています。
これはキャラクターを見た人が「かわいい!」と感じてくれるようなデザインをつき詰めていった結果と言えます。
今回は、主に女性のキャラとしてデザインされることが多い萌えキャラの頭と顔のバランスや比率にについて考えてみましょう。
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今回の授業内容と難易度
それでは、今回の内容です。
萌えキャラと言われるキャラクターたちは現実には存在しません。
現実の人間をベースとしつつ、大きくデフォルメされた現実離れした頭部や体を持っています。
萌えキャラの特徴を踏まえながら、そのデザインの特殊性を見てゆきましょう。
- 難易度 1:★☆☆☆☆
- 重要度 1:★☆☆☆☆
- 画力向上度 2:★★☆☆☆
絵を描く上ではそれほど重要なポイントはありません。
何かの機会に萌えキャラ的なものをデザインする場合にはいくらか役に立つでしょう。
萌えキャラとは何か?
「萌えキャラ」という呼び方が適切なのかどうかわかりませんが、いわゆるマンガやアニメでたくさんのファンを獲得するために生み出された、主に美少女キャラたちのことを今回は「萌えキャラ」と呼んでみます。
私も特に描くのが得意なキャラクターではないですし、好んで描くこともありません。
ただし、仕事などで描く時にはとても興味深いデザインだと思いながら描いています。
以前に萌えキャラの体の比率について解説をしたことがありますが、顔にしぼって見てもとても面白い工夫がなされています。
萌えキャラに必要な要素
こういうキャラは描き慣れませんが、ひとつサンプルを描いてみます。
「萌え」ないようであれば…すみません。
とにもかくにも、こういったキャラクターの作品中での役割はファンの獲得です。
読者や視聴者に「かわいい!」と感じてもらって、作品を支持してもらいつつ、そのキャラクター自身も商品として様々なグッズを買って、お金を使ってもらえる存在になることが重要です。
マンガやアニメを商業的に成り立たせることにおいては最も重要なキャラかも知れません。
この重要な任務をはたすためには、多くの人間が「かわいい」と感じてくれる要素を盛り込むことが大切になってきます。
もちろん「かわいい」と感じるポイントは、そのキャラクターの動きや性格、生き方など色々なものがあるのですが、今回は顔にしぼって考えていきます。
萌えキャラの顔のベースは赤ちゃんや子供
年齢による顔の描き分けの回でも説明しましたが、多くの人が「かわいい」と感じる顔は赤ちゃんや子供の顔です。
これは子供の頭蓋骨が未発達であることが原因ですが、顔の中央ラインよりも下に目や鼻、口などのパーツが配置されていると、人は「かわいい」と感じることが多いようです。
ここで赤ちゃんと大人の顔のパーツ配置を確認しておきます。
ただの丸チョンで描いた顔ですが、目や鼻、口などのパーツが下に集まっている赤ちゃんの顔のパーツ配置の方が「かわいい」と感じないでしょうか。
萌えキャラもこの赤ちゃんの顔のパーツ配置がデザインの基本となります。
最初に描いたサンプルもこれに合わせて描いています。
ここでは「かわいい」と感じてもらえる萌えキャラのデザインは、赤ちゃんのパーツ配置を基本にするとよいということをおぼえておいて下さい。
萌えキャラの顔の特徴とポイント
いわゆる「萌えキャラ」を描く時のポイントも確認しておきます。
顔のパーツ配置の基本は先に述べたように赤ちゃんのパーツ配置に似ています。
これは見る人に「かわいい」と感じてもらうことが目的です。
その上で、赤ちゃんとは異なるパーツの要素も盛り込まれます。
赤ちゃんは耳以外の目や鼻のパーツは小さいという特徴がありましたが、萌えキャラたちにはこれは当てはまりません。
まず、顔や表情を確実に認識してもらうために大きな目を持ちます。
目が大きいと表情が作りやすくなります。
その反面、彼女たちの「か弱さ」を表現するため目以外のパーツは小さくなります。
鼻などは、単なる「点」として描かれるようなこともあります。
これは「鼻はここだよ」ということを見る人に知らせる以外の機能は持っていないように思えます。
耳は赤ちゃんと同じく大きなことが多いようです。
ただし、ついている位置は一般的な成人の耳の位置とはかなり異なります。
一般的な位置が眉と鼻の間であるのに対して、耳の下端こそ鼻の頭の位置に来るものの上端は眉の位置には大きく届きません。
口も小さいことが多いですが、これはキャラクターの性格が反映されます。
大人しい性格が「売り」のキャラクターは常に小さな口を持ちますが、逆に元気で活発なことが「売り」となるキャラクターはお芝居をする時に大きく開くこともあります。
口を開いた時に「八重歯」などが見えればさらに効果的でしょう。
キャラクターに個性を与える効果に加えて、新たなファンを獲得する効果もあわせ持つでしょう。
ここで解説した萌えキャラの特徴はあくまでも一例です。
こういったものを基本としながら、パーツの配置や大きさ、表現の方法などを工夫して、よりたくさんのファンを獲得できるキャラクターをデザインする試みが日々くり返されています。
萌えキャラの頭蓋骨考察
萌えキャラたちの頭蓋骨の形はどうなっているのかにも興味がわいてきます。
先ほど描いたサンプルをもとに考えてみましょう。
全体的な形としては頭が大きく、顔の部分が小さいという子供の頭蓋骨に近い形になるでしょう。
目や鼻、口といったパーツを形成する骨なども頭部の下側に偏って存在します。
あごになる下顎骨の先端もとがっています。
目がとても大きいのでそれがおさまる眼窩も大きいと考えられます。
耳も下の方に付いていますので耳の穴と眼窩の下端のならびである耳眼平面(耳眼水平線)も考えて、耳のおおよその位置を決めることができます。
あごの骨がとがっていて、口も小さくなります。
鼻は小さいので鼻道の穴もとても小さくなるでしょう。
眼窩と頬の骨である頬骨、口を作る上顎骨、下顎骨は頭部の下側にかなり圧縮されて存在する感じとなります。
萌えキャラたちの頭蓋骨はおそらくこのような形状でしょう。
おそらく10代後半から20代くらいに設定されているキャラクターが多いと思いますが、これは一般的な大人の頭蓋骨とは大きく形が異なります。
人間でいうと赤ちゃんや子供に近い形の頭蓋骨です。
人型のキャラクターで「かわいい」を追及すると赤ちゃんや子供の顔に行きつくということでしょう。
要点まとめ
今回の要点をまとめておきます。
マンガやアニメが商業的に成り立つためにはキャラクターの魅力が大切です。
見た目もそうですが、動きや生き様、性格などをうまくかけ合わせて魅力的なキャラクターをデザインしてゆくとよいでしょう。
次回は「目」についてです。
人物の顔を描く時に目はとても重要なパーツです。
キャラを描いている時に、特に描いていて楽しいパーツでしょう。
しかし、マンガやアニメの模写で目の描き方を学んだ場合、その構造がしっかり理解できていないこともあります。
目の構造を理解して、どの方向からでも魅力的な目が描けるようになりましょう。
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