《初心者~初級者向け》
さて、前回の授業で子供を描く時には子供の体の比率やバランスを知って描くことがとても大切だという話をしました。
これは男性と女性の描き分けについても言えます。
女性には女性の、男性には男性の身体的特徴があります。
何も知らずに女性を描こうと思うときに男性骨格の体に女性の頭部をとり付けても、ちょっと女性には見えません。
男性と女性では骨格から筋肉、脂肪のつき方まで大きく異なっています。
これを知らずに男性骨格の体にがんばって美しい女性的な顔を描いたとしても、童顔のおじさんのようなよくわからないキャラクターが現れるだけです。逆に男性を描こうとして男性の頭を女性の体にとり付けても豊満な肉体を持ったおじさんが誕生するだけです。
男性的、女性的な体を描くには男女の体の特徴をとらえることが大切です。
出典:Pixabay StockSnapによるPixabayからの画像 男性と女性では明らかに身体的特徴が異なる
今回は男女の体の3つポイントを知って描き分けるためのコツをつかみましょう。
今回の授業内容と難易度
今回の授業内容です。
男女の描き分けについて、シルエット、骨格、筋肉と脂肪の3ポイントについて説明します。
- 難易度 2:★★☆☆☆
- 重要度 5:★★★★★
- 画力向上度 4:★★★★☆
女性を描こうとして男性っぽくなる悲劇を回避することはとても大切です。重要度は最高点です。
男性と女性の体の特徴について知れば、体形で男女を描き分けることができるようになります。
男女の描き分けはシルエットが重要
みなさんはこちらの案内サインを見たことがあるでしょうか?
そうです。トイレの入口などにあるサインです。
多少のデザインの差はあるようですが、世界で通用する視覚サインのひとつでしょう。
このトイレのサインですが、これは男性と女性の体形的な特徴を的確にとらえたとても優れたデザインになっています。
よく女性の体は三角形のシルエットを持ち、男性は逆三角形のシルエットを持つと言われます。
このトイレのサインはこの男女の体形的な特徴をデザインとしてとり入れており、青や赤といった色のイメージに頼らなくても男性用、女性用がわかるようになっているのです。
では、女性、男性のシルエットの特徴について確認してみましょう。
女性的な三角形のシルエット
女性を表現するシルエットは三角形で表現されます。
トイレのサインも女性は三角形に頭部をあらわす丸がくっついたデザインです。
これは次に説明する骨格が大きな要因なのですが、女性は小顔で肩幅がせまく、逆に腰のあたりが大きく幅のある体形になっていることで、三角形のシルエットになります。
男性的な逆三角形のシルエット
男性的なシルエットを作り出すには逆三角形を意識するとよいでしょう。
逆三角形に頭の丸がついたデザインで男性のトイレのサインもできています。
特にスポーツなどをしている男性は肩のあたりの筋肉が発達し広い肩幅を持っていますが、腰の骨が女性より小さいことで広い肩幅にくらべてお尻のあたりの幅はせまくなります。
この肩幅とお尻の幅の違いによって男性は逆三角形のシルエットになります。
男性の骨格と女性の骨格
では、この男女の特徴的なシルエットを作り出している要因はなんでしょうか?
まず男女のシルエットの違いを作り出しているのは骨格です。
男性と女性では骨の形や大きさが違っているのです。
男性と女性の骨格の略図です。左が男性、右が女性です。
ほとんどの部分で同じように見えると思いますが、大きく異なるところもあります。
もっとも違いが目立つのは腰の骨だと思います。ここは男女で特徴的な違いがあります。
腰の骨を骨盤といいますが、女性の骨盤は男性のものにくらべて横に幅広い形です。
この骨盤の横幅の違いが女性の三角形型、男性の逆三角形型のシルエットを作り出すことに大きく影響しています。
女性の骨盤の横幅の広さが三角形のシルエットの底辺を作ります。
対して男性は骨盤の横幅がせまく肩幅の方が広くなるので、三角形は逆を向くことになります。
さらにこの骨盤の幅の違いは脚の骨のつき方にも影響します。
横にワイドな骨盤を持つ女性のふともも部分の脚の骨(大腿骨)は外側から内側に入りこんでくるような感じでついています。
これに対して骨盤がせまい男性の大腿骨は真っすぐ下に落ちる印象でつきます。
もうひとつ骨格において特徴的なところをあげれば、それは肩から胸あたりの骨の大きさでしょう。
男性の逆三角形のシルエットを作ることに大きな役割を果たしているのが、肩まわりの骨の大きさです。このあたりの骨が大きいことが男性の肩幅の広さを作り出します。
特に女性にくらべて長い鎖骨と大きな胸郭が特徴的です。
このように女性は胴体下部にある腰の骨が大きく、男性は逆に胴体上部の肩まわりの骨が大きくなっていて、この骨格的特徴が女性の三角形のシルエット、男性の逆三角形のシルエットを作り出しているのです。
男性は筋肉の硬さ・女性は脂肪のやわらかさ
次に骨につく筋肉や脂肪を見てみましょう。
この筋肉や脂肪も男性と女性でつき方が変わってきます。
一般的に男性は筋肉質な肉体を持っており、逆に女性は脂肪の多いやわらかい肉体です。
先に説明した骨格にくわえて、この筋肉と脂肪も男性と女性のシルエットの違いを作り出すのに大きな役割を果たしています。
この筋肉と脂肪のつき方でも男女で大きな違いが出るのは肩まわりと腰まわりです。
まず肩まわりから見ていきましょう。
男性は肩や胸の筋肉が大きく発達します。幅の広い骨格にくわえて胸や肩に大きな筋肉を持つことで男性の肩幅はとても広くなるのです。
男性にくらべると女性の肩まわりの筋肉は小さく、あまり発達しません。
女性は「なで肩だ」と言われることが多いですが、骨格にくわえて筋肉も発達しないことで肩幅がせまく、腕へとなだらかに落ちていく肩を持つことからこのように表現されるのでしょう。
次に腰まわりです。
腰の骨である骨盤は女性の方が横に幅広いという説明は骨格のところでしましたが、女性の腰まわりをさらに幅広く見せているものが脂肪です。
女性の横幅の広い骨盤のまわりにはたくさんの脂肪がつきます。
女性のお尻は筋肉よりも脂肪が目立ち、丸みのあるやわらかいフォルムを作り出します。
これに対して男性はあまり脂肪がつきません。それよりも筋肉の発達が目立ちます。うしろから見た時も大殿筋というお尻の大きな筋肉が目立ち、ひきしまった印象になります。
腰のあたりに脂肪がつくか、筋肉がつくかという違いも男女のシルエットに違いを生みます。
全体的に筋肉質な男性の体は直線的で硬い印象のシルエットになり、脂肪が多い女性は丸みをおびたやわらかい曲線的なシルエットになるのです。
要点まとめ
では、今回の要点をまとめます。
男性と女性を描き分けるためには、体に特徴的な違いがあるということを理解しておきましょう。
この特徴を知らずに無理に男女を描き分けようとしても失敗するだけです。
女性を描く時、男性を描く時、それぞれの特徴を思い出しながら描いてみましょう。
今回で基本的な人体の描き方については一旦終了となります。
次回は正しい人体の比率を知ることで、実は人外やモンスターも簡単に描けるようになるという話します。
では、次回もお楽しみに。
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