《レベル:初級者向け》
今回はいろいろな比率、バランスの人体について説明します。
つまり、これまでの8頭身人体をモデルとした説明にあてはまらない人体の比率やバランスについてです。
人体の比率やバランスはすべての人で共通の部分も多いのですが、人種の違いや年齢、あるいはマンガやアニメのデフォルメされたキャラクターでは、これまでの人体の比率やバランスの説明と異なる説明が必要になることがあります。
今回はこういった変わった比率やバランスになる人体のうち、人種とキャラクターのデフォルメについて説明します。
年齢で異なる体の比率(子供の体の比率)については別の記事で詳しく説明します。
8頭身人体における比率やバランスについては以下の記事にまとめてあります。
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今回の授業内容と難易度
今回の授業内容です。
今回はこれまでに説明してきた人体の比率やバランスにあてはまらない多種多様な人体の比率やバランスについて説明します。
- 難易度 3:★★★☆☆
- 重要度 3:★★★☆☆
- 画力向上度 3:★★★☆☆
少し特殊な内容になりますので、平均的な難易度、重要度、画力向上度にしています。
8頭身人体で学んだ比率やバランスを理解していれば、あとまわしにしてもよい内容です。しかし、いろいろな人体比率で描くことができる力は表現の幅を広げることができます。
人体の比率は実はいろいろ
これまでは8頭身で上半身と脚の比率が1:1となる人体図を使って人体の比率やバランスを説明してきましたが、世の中はそのような比率の人たちばかりでないことを知っていると思います。
8頭身で上半身と脚の比率が1:1の人体は外見で「美しい」と思われるような、かなり理想的な比率の人体です。ファッションモデルやマンガやアニメのキャラクターなどはこの比率になることが多いようです。また白人や黒人の人たちには一般人でもこの比率の人たちがいます。
出典:Unsplash 美しい無料画像と写真の数々 | Unsplash UnsplashのTyler Nixが撮影した写真 上半身と脚の比率が1:1となる人体の例
今まで8頭身の上半身と脚の比率が1:1の人体で比率やバランスの説明をおこなってきたのは、マンガやアニメのキャラクターはこの理想的な比率のモデルを使ってデザインされることが多いからです。
では、なぜこの1:1の理想的な美しい比率でデザインされるのでしょうか?
理由は簡単です。見ている人が「美しい」「かっこいい」と思ってくれるからです。
美しい、かっこいいキャラクターはその魅力で多くのファンを獲得してお金を稼いでくれるのです。
そのため理想的な比率やバランスでデザインされるのです。
出典:Unsplash 美しい無料画像と写真の数々 | Unsplash UnsplashのDavid Hofmannが撮影した写真 上半身と脚の比率が1:1となる人体の例 その2
しかし、現実はこのような上半身と脚の比率が1:1の人たちばかりではありません。
そういった人たちのひとつが主にモンゴロイドと呼ばれる人種に分類されるアジア系の人たちでしょう。
アジア系人種の人体比率と描き方
上半身1:脚1の人体比率についてこれまで説明して来ましたが、多くのアジア系の人たちが持つ体はこの比率から外れることが多いです。
より現実に近い感じでアジア系の人たちの体を描くには別の人体比率をあてはめる必要があります。
アジア系の人たちはよく胴長短足と表現されます。
言葉の通り、アジア系の人たちは胴体(胸、腹、腰)が長く、その長い胴体に比べて脚が短い傾向があります。
1:1の比率の人体と比べるとこのような感じです。
しかし、アジア系の人でも上半身と脚の比率はいろいろです。脚が長い人もいれば、短い人もいます。
アジア系の人たちを描くのであれば上半身1.1~1.2に対して脚が0.9~0.8くらいの比率で描くのがよいでしょう。
アジア系では、モデルや俳優のような外見的な美しさが大切で「脚が長い」と思われている人でも上半身に対する脚の長さはせいぜいおでこ(額)のあたりまでくらいです。1:1の比率にはなりませんが、アジア系の人種の中では、これは奇跡的な脚の長さだと言えるでしょう。
アジア人が白人系や黒人系に比べて脚が短いのは農耕を生活の基盤とした民族が多く、脚が短く重心が落としやすい体形の方が農作業に向いていたのではないかと想像します。
重心の低い胴長短足にはたくさんの利点もあります。
脚が短く重心が低いということは下半身が安定するということです。腰を低く落とす相撲や柔道などのスポーツで強いことにくわえ、走ったり、歩いたりする日常の動きにおいても脚の長い人種よりは安定した運動を継続しておこなうことができる人が多いはずです。
出典:Unsplash 美しい無料画像と写真の数々 | Unsplash UnsplashのAlessio Roversiが撮影した写真 日本の相撲は重心の低さが重要
人類の発祥の地はアフリカ大陸だと言われますが、そこから一番遠いユーラシア大陸の東の端やさらにそこから海を越えたアメリカ大陸までたどり着いた人種がアジア系であるのも、この脚が短くて重心が低いという体形的特性が歩いて移動することに有利に働いたのだと思うと興味深いです。
萌えキャラの体の比率とバランス
次に変わった比率のマンガやアニメのキャラクターの体についてとり上げます。
それは、萌えキャラと言われるキャラクターたちです。
私も仕事で何度か「萌えキャラ」を描いたことがありますが、そのとても変わった体形に驚くとともに、計算されたキャラクターデザインに感心したことをおぼえています。
8頭身人体と萌えキャラの体の比率をくらべてみましょう。
どうでしょうか?
彼女たちの体形の特殊性がわかると思います。
萌えキャラは、小さい胴体に対して異様に大きな頭を持っているとてもバランスの悪い体形なのですが、上半身と脚の比率はみごとに1:1になっているのです。
これは上半身と脚の比率は1:1として脚を長く見せながらも、商品としてのキャラクターの命である顔やその表情を読者や視聴者にしっかりアピールできるように頭をとても大きく作って、見やすくしているのでしょう。
これも一種のデフォルメ(変形、誇張)で、現実にこのような体形の人がいたらとても奇妙な印象をうけると思うのですが、それがキャラクターになると「カワイイ」と思われるのでふしぎです。
萌えキャラは、商品としてのキャラクターとして必要なアピールができるように5~5.5頭身という極端に大きな頭を持った体形になっています。
しかし、多くのファンに「カワイイ」と感じてもらえるように目や耳を大きくして配置を工夫したりと、とても巧みな計算のもとにデザインされたキャラクターだと言えるでしょう。
▼萌えキャラの頭部の考察についてはこちら▼
要点まとめ
今回の要点まとめです。
人体比率の基本は8頭身人体で説明した通りですが、それに当てはまらない人たちもたくさんいます。
いろいろな比率で人間を描く知識を身につけて表現の幅を広げてみましょう。
次回はいろいろな比率、バランスの人体の2回目。
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